会社員と社長を兼業したときの問題や社会保険加入について

会社員と社長を兼業したときの問題や社会保険加入について

働き方改革の一環として、勤務時間外の副業・兼業を希望する人が増えています。

就業構造基本調査によると、2017年の副業希望者は424.4人でした。[注1]

実は会社員として働きながら起業し、自分の会社を持つことも可能です。しかし、会社員と社長の兼業には問題もあります。

この記事では、会社員と社長を兼業するメリットや注意点を解説します。

会社員と社長は兼業できる!しかし問題点も

会社員と社長の兼業を禁止する法令はありません。そのため、勤め先の就業規則に副業禁止規定がない場合は、会社員として働きながら、起業や会社設立をしても法令上は咎められません。

しかし、会社員と社長の兼業には「勤め先に会社設立がバレる」というリスクがあります。例えば、勤め先に会社を設立した事実が知られるのは以下のようなケースです。

  • 法人登記(会社設立登記)を行い、登記簿謄本に自分の氏名が載った
  • 国税庁の法人番号公表サイトに社名と所在地が掲載され、社名を検索した人に会社設立を知られた
  • 役員報酬を受け取った結果、住民税の特別徴収の際に副業の事実がバレた

会社員と社長の兼業は可能ですが、会社設立の事実が勤め先に知られるリスクがあります。可能であれば、所属先の上長などに副業・兼業の事前許可をとっておくと安心です。

会社員が社長を兼業する4つのメリット

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そもそも、なぜ会社員として働きながら起業する人がいるのでしょうか。会社員が自分の会社を設立し、社長と兼業するメリットは4つあります。

  • 給与所得控除を利用できるため、節税対策になる
  • 経費として計上できる項目が増える
  • 社会的な信用度が上昇し、銀行融資などの資金調達で有利になる
  • 中小事業者を対象とした助成金や補助金を利用できる

役員報酬を受け取る場合、給与所得控除を利用できます。また、会社の社長になれば、経費として計上可能な勘定科目の範囲が広がります。

そのため、個人事業主のまま兼業するよりも、会社設立した方が高い節税効果を得られます。

銀行融資の利用を予定している場合は、社会的な信用度が上昇するのも会社設立のメリットです。
また、地方創生起業支援事業や小規模事業者持続化補助金など、中小事業者を対象とした助成金や補助金を利用し、資金調達できるというメリットもあります。

すでに個人事業主として副業収入を得ている方は、節税対策や資金調達などのメリットを考慮し、法人化(会社設立)するかどうかを検討しましょう。

会社員と社長を兼業するときは社会保険に加入する義務はある?

会社員と社長を兼業するときは社会保険に加入する義務はある?

会社員と社長を兼業するときの疑問として挙がるのが、「すでに勤め先で社会保険に加入しているが、設立した会社でも社会保険に加入する義務があるのか」という点です。

健康保険法第3条や厚生年金保険法第9条などの規定により、原則として会社を設立した場合は社会保険に加入する必要があります。

しかし、会社設立後に役員報酬を受け取ったケースと、役員報酬を出さないケースでは社会保険の考え方が異なります。もし役員報酬を出さず、1円も給与を受け取らない場合、新たに社会保険へ加入する必要はありません。

ただし、注意が必要なのが役員報酬を受け取るケースです。役員報酬を受け取る場合は、すでに勤め先で加入している社会保険に加えて、新たに設立した会社でも社会保険に加入する義務が発生します。

つまり、社会保険への二重加入が必要になるケースがあることを知っておきましょう。

会社員と社長を兼業すれば、節税や資金調達の点でメリットがあります。

ただし、登記簿謄本や法人番号公表サイトを通じ、勤め先に兼業がバレる可能性があります。また、役員報酬を受け取る場合は社会保険への二重加入が必要です。

[注1] 総務省:令和4年就業構造基本調査キャンペーンサイト