起業して会社経営が始まると毎月の経費に悩まされますが、会社経営における最も負担の多い経費は、従業員の給料や社会保険などを含めた「人件費」です。 従業員を雇用している人数が多ければ多いほど会社側が負担する経費が増えますので、会社自体の資金繰りにも大きな影響を及ぼします。 しかし、経費を削減しようとして、躊躇なく人件費を削減しようとすると、売上に直接的に損害を被る場合がありますので注意が必要です。
そこで本記事では、会社経営における最も負担の多い経費「人件費」を削減する際の注意点について解説していますので是非ご覧ください。
会社経営における「人件費」はどれくらいかかるのか?
まず最初に、会社経営における「人件費」はどれくらいかかるのか?について解説していきます。 既に起業して会社経営をしている方はご存知かと思いますが、人件費は会社組織における経費のうち大半を占めている経費です。 雇用している従業員が増えれば増えるほど人件費はかさみますし、それと同時に会社側が負担する従業員の社会保険料額も増えていきます。
あくまで参考例ですが、従業員を10名雇用した場合の「人件費」を見ていきましょう。
従業員を10名雇用した場合の人件費とその他経費
給料の参考例(役員2名、正社員6名、パート・アルバイト2名)
給料の参考例 | 月間経費 |
役員報酬(50万円×2名) | 100万円 |
正社員(25万円×6名) | 150万円 |
パート・アルバイト(10万円×2名) | 20万円 |
合計 | 270万円 |
各種経費
各種経費の参考例 | 月間経費 |
社会保険料(厚生年金などを含む) | 40万円 |
交通費(通勤、営業など) | 25万円 |
通信費(電話、ネット使用料) | 10万円 |
雑費 | 5万円 |
合計 | 80万円 |
上記の参考例では、従業員にかかる毎月の経費は約350万円になり、年間で約4,200万円の人件費がかかる計算になります。 この他にも仕入れや外注費が掛かりますので、ざっくり考えても毎月700万円〜800万円の利益を生み出さないと会社経営は成り立ちません。
また会社の業績で利益率を40%としても、毎月約2,000万円以上の売上で年間2億4,000万円の年商がないと、この例のような会社は継続していく事ができません。 いかがでしょうか? 従業員を10名雇用した場合これだけの経費がかかってしまいますが、年商2億円以上を計上することは容易なことではありません。
会社経営における「人件費」を削減する際の注意点
ではここからは、会社経営における「人件費」を削減する際の注意点について解説していきます。 人件費を削減する際に注意しておきたいことは、以下2点です。
以下、それぞれ解説していきます。
給料を下げた場合に、従業員のモチベーションは維持できるか?
まず最初に、会社経営における人件費を削減する際の注意点として、「給料を下げた場合に、従業員のモチベーションを維持できるか?」についてです。
ごく一般的な考えではありますが、従業員は給料が減ると100%モチベーションが下がります。 最悪の場合、退職を決断して辞めてしまう従業員も出てくるでしょう…。 もちろん、会社経営者としては会社組織の存続の方が重要ですので、従業員の給料カットは仕方のないことです。 しかし、会社側(雇用する側)と従業員側(雇用される側)では、考え方や目的も全く異なりますので、スムーズに解決できない問題となってきます。
解決策としては、そもそも雇用した時から高い給料に設定しないことも重要ですし、もし仮に給料をカットしなくてはならない状況になってしまった場合は、一人一人の従業員と腹を割って話をするべきです。 実際に私も経験がありますが、会社側に有益な従業員には会社を辞めて欲しくありません。 現状会社経営が厳しい事、今後業績が上がったら『給料を戻す』、または『さらに給料を上げるから』としっかり話をすることで、退職させずに済むケースもあると思います。
従業員を解雇した後に、少ない従業員で業績を上げることができるか?
次に、会社経営における人件費を削減する際の注意点として、「従業員を解雇した後に、少ない従業員で業績を上げることができるのか?」についてです。
この件に関しては、会社経営の低迷がどこに原因があるかにもよります。 顧客が減少して業績が低下した場合には、人件費を削減するために従業員の給料を減らしたり、解雇したりすることは妥当な解決策です。 しかし、顧客からの支払いが遅れたり、顧客が倒産した場合などで資金繰りが圧迫してしまった場合には、下手げに人件費を削減しようとすると逆に痛い目にあいます。
別記事でも解説していますが、会社経営における業績を上げる方法としては、従業員の営業力は必要不可欠なことです。 仕事のできる従業員がいるからこそ業績が上がり、業績が上がるからこそ資金が増え、さらに人件費にお金を投資することができます。
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そして、仕事量が変わらない状況で従業員を減らしてしまうと、残された従業員たちに負担がかかり、残業代の方がかかってしまうということも例外ではありません。 また従業員を解雇した際に、辞めた人間から労働基準監督署などに訴えなどがあると、余計にお金がかかってしまう危険性がありますので注意が必要です。
このように従業員の給料をカットしたり解雇したりする際には、会社の経営状況を良く把握してから判断する必要があります。
まとめ
まとめになりますが、会社組織にとって人件費は経費の大半を占めているという事は間違いないことですが、人件費は削減すれば良いということではありません。 従業員を減らせば業績を上げることは難しくなりますし、給料をカットすれば従業員のモチベーションは下がります。
会社毎に問題はあると思いますが、まずは冷静になって考えることが重要ですので、専門家の税理士や金融機関の担当などに相談をしてみると良いかもしれません。
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