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補助金の勘定科目と二通りの仕訳方法や圧縮記帳について徹底解説

補助金の勘定科目と二通りの仕訳方法や圧縮記帳について徹底解説

補助金とは国や公的機関から支給されるもので、返済義務がないことから会社にとってはとてもありがたいお金といえます。

しかし、補助金は日常的に何度も受け取れるわけではありません。
審査の結果、念願の補助金がもらえることが決まったものの、会計処理の方法や利用する勘定科目がわからないという人も多いのではないでしょうか。

補助金は本業以外の売上からの収入となるので、勘定科目は「雑収入」となり、支給決定から入金まで約1か月以内の場合は、1回で仕訳を行います。

決定通知と入金日までが長く決算時期をまたぐ場合は2回に分けて仕訳をするため、注意が必要です。

この記事では補助金の勘定科目や仕訳処理の方法について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

補助金の会計処理!異なる2つの仕訳方法

補助金は本業の売上とは別の収入として扱われるので、勘定科目は「雑収入」となります。

補助金の会計処理では、入金までの期間が短い場合と長い場合で仕訳の方法がかわります。
それぞれの方法をみていきましょう。

入金までの時間が短期間である場合

補助金決定の通知から実際の入金までの期間が約1か月以内のときには「入金までが短い場合」として、以下のように仕訳を行います。

例として200万円の補助金を受け取った場合を考えてみましょう。

補助金確定から入金までが1か月以内であれば、以下のように一度の仕訳でも問題ありません。

借方 貸方
普通(当座)預金 2,000,000 雑収入 2,000,000

入金まで時間がかかり決算期をまたぐ場合

補助金は支給決定から実際の入金までに時間がかかることが多く、平均で2~3か月、長いときでは半年以上かかることもあります。

入金まで1か月以上かかる場合、もしくは決算をまたぐ場合は仕訳を2回にわけて、以下のように「未収金」を使った仕訳を行います。

「決算をまたぐ場合は、補助金の支給が決定した事業年度で必ず会計処理を行わなければならない」ということを覚えておきましょう。

仕訳の方法は以下のようになっています。

①補助金の給付が確定した日に行う仕訳

借方 貸方
未収入金 2,000,000 雑収入 2,000,000

このように、まずはじめに勘定科目の「未収入金」と使った仕訳を行います。

未収入金とは「本業以外の収入で、今後1年以内に回収される性質のもの」をいいます。

補助金は将来確実に入ってくるお金なので、入金されるまでは未収金を使って仕訳をしましょう。

②入金した日に行う仕訳
実際にお金が口座に入金された日は、以下のように仕訳を行い未収入金を消します。

借方 貸方
普通(当座)預金 2,000,000 未収入金 2,000,000

決算期では、決算書の未収金の摘要欄に補助金のことを記載しておくようにしましょう。

補助金で発生する税金と発生しない税金

補助金は消費税の課税対象ではありませんが、法人税は課税されます。
その理由を詳しくみていきましょう。

法人税

補助金は大きく分けると、以下のような2つの補助金に分けることができます。

  • 雇用調整助成金のような「経費補助金」
  • 固定資産の購入などを目的とした「施設補助金」

どちらの補助金も以下の2点の理由から、法人税の課税対象となっています。

  • 法人税法では補助金に関する決まりがないこと
  • 補助金は増資などの資本取引ではないこと

法人税の計算をするときには、補助金額を利益に加えて計算を行うことになります。

消費税

一般的には、「雑収入」は消費税が課税される勘定科目という印象があります。

しかし、補助金は「何かの対価」として支払われるものではないため、消費税の課税対象にはなりません。

消費税に関する処理も必要ないと覚えておきましょう。

【圧縮記帳】上手に活用!税金の負担を減らす方法

補助金は法人税の課税対象となっています。

特に、補助金を使って固定資産に該当するもの(設備機器類など)を購入した場合は、「施設補助金」と見なされ、税金を一度に支払う必要があります。

返済義務がない補助金は会社にとってメリットが大きいものの、税金を一度に納めるのはやはり負担が大きく、補助金を受け取ったメリットが少なくなってしまいます。

ここで活用できるのが「圧縮記帳」です。

圧縮記帳とは、補助金など一気にまとまった金額の収入があって税金を一度に支払わなければならない場合に、税金の支払いのタイミングを分散し、納税を次年度以降に遅らせることができる手法のことをいいます。

圧縮記帳を活用すると、税金を何年かに分散して支払えるようになるため、補助金をもらった事業年度に支払う税金額を減らすことができます。

ただし、圧縮記帳は税の繰り延べができるだけで、減税できるわけではありません。

税金を事業年度ごとに分割して支払えるようにするのが圧縮記帳であり、支払う税金の総額は変わらないということを覚えておきましょう。

圧縮記帳の内容と活用例

圧縮記帳を行う方法と活用例を説明していきます。

まず、補助金を受け取り、300万の機械を購入した場合を考えてみましょう。

通常の会計処理は以下のようになります。

預貯金 2,000,000 雑収入 2,000,000
機械 3,000,000 預貯金 3,000,000
減価償却費 750,000 機械 750,000

減価償却費は300万×0.25(定率法償却率)=75万円とします。

補助金のみが収入と考えた場合、利益は200万円(補助金)ー75万円(減価償却費)=125万円となります。

法人税率が25%の場合は、支払う法人税は125万円×25%=31万2500円となります。

実質の補助金額は法人税を支払った後の額と考えることができるため、200万ー31万2500円=168万7500円ということになります。

次に、圧縮記帳による会計処理をした場合を考えてみましょう。

預貯金 2,000,000 雑収入 2,00,000
機械 3,000,000 預貯金 3,000,000
圧縮損 2,000,000 機械 2,000,000
減価償却費 250,000 機械 250,000

この会計処理では、受け取った補助金と同額の圧縮損を計上しています。

減価償却費の計算は、以下のようになります。

機械取得費は300万ー200万(圧縮損)=100万となり、減価償却費は100万×0.25(定率法償却率)=25万となります。

この場合、法人の利益は200万(補助金額)ー200万(圧縮損)ー25万円(減価償却費)=マイナス25万円となり、会社の利益が赤字となるため法人税を支払う必要はありません。

このように圧縮記帳を活用すると、補助金にかかる税金の分を支払う必要がなくなり、実質補助金すべての額を受け取れたということになります。

補助金はもともと企業活動のために与えられるものですから、このように圧縮記帳を用いて税金を次年度以降に繰り越すことで、補助金をしっかりと設備投資に生かせるというメリットがあります。

ただし、次年度以降どこかのタイミングで圧縮損を清算しなければならないため、いずれは税金を支払わなければなりません。

また、圧縮記帳は何にでも使えるというわけではなく、固定資産の取得に補助金を充てたときのみとなっています。

人件費などの経費に充てた場合は、圧縮記帳の対象とならないので注意しましょう。

補助金の会計処理で注意すべき3つのポイント

補助金の勘定科目や会計処理方法について、注意すべきポイントをもう一度みていきましょう。

決算期をまたぐ場合

補助金の入金が決算日をまたぐ場合は、いったん未収金で仕訳をする必要があります。

1か月以内の入金であれば一度の仕訳で終わらせることができますが、入金まで1か月以上かかる場合や、入金が決算期をまたぐ場合は勘定項目の「未収金」を使って二回に分けて仕訳をするようにしましょう。

入金の時期

補助金は支給決定通知書を受け取ってから入金があるまでに時間がかかることが多く、遅い場合は1年ほどかかる場合もあります。

補助金の審査に通過して受給できることが決まっても、すぐにキャッシュフローが改善するとはかぎらないため注意が必要です。

補助金は1か月以内にもらえることはむしろ珍しく、たいていの場合は数か月以上かかると考えておきましょう。

補助金の受け取りまでに期間があり、その間に資金繰りが厳しくなった場合は売掛債権を現金化するファクタリングや、最短即日で資金調達ができるビジネスローンなどを検討すると良いでしょう。

税金について

補助金は勘定科目が「雑収入」のため消費税がかかると考えられがちですが、実際は消費税はかかりません。

課税対象となるのは法人税のみとなっており、消費税の処理は必要ないということを覚えておきましょう。

まとめ

補助金の会計処理に使う勘定科目は「雑収入」で、入金のタイミングによって仕訳の方法がかわりますので注意が必要です。

補助金には法人税がかかりますが、圧縮記帳を活用することで税金の繰り延べができ、補助金すべてを設備投資や資産の購入に充てることができるようになります。

補助金の受給が決まったときには雑収入を使った仕訳を行い、圧縮記帳を活用できる場合はうまく利用するようにしましょう。